やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 テイクアウトの行列を横目に裏口からお店の中に入る。
 既に待機してくださっていた支配人のベイカーさんに挨拶をして、従業員用通用口から更衣室への道順を歩きながら、使用するロッカーや休憩室等も教えて貰う。
 その後、厨房を案内していただき、ここでも皆さんに挨拶をする。


「開店1時間前には出勤してください」


 勤務時間は10時から17時。
 休憩も1時間いただけるし、週1で月にして3回だけの勤務形態は働くというよりはお手伝いレベルで、それで300ルアは申し訳なかった。 


 だが、その認識は甘かったようで。
 最初はテイクアウトのお客様の行列を、整理するのをお願いします、と仕事内容を伝えられた。

 暑くても寒くても、雨の日でも、外で並んでいるお客様から事前に注文を聞き取り、間違えずに内に伝えて、商品をお渡しするのは、思っているより簡単ではありませんよ、と笑顔で脅された。

 ご注文された商品が分からなかったり、尋ねられて直ぐにお薦めを答えられないようでは失格です、とベイカーさんの脅しの笑顔が深くなる。
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