やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

 お店からの帰りに、ベイカーさんから手提げの紙袋を渡された。
 中身はシーズンズ名物の季節のフルーツと生クリームをサンドしたパンだ。
 夕食を共に出来なかった、と祖父が気にしてくれていたらしい。

 寮に帰っても夕食は無かったし、この時間はどこのカフェも開いてなくて、遠慮なく頂戴した。
 他にアップルパイも入っていたので、メリッサへのお土産にさせて貰う。
 これは前回、メリッサの大好物だった。


 寮に戻って、祖父からの一筆を添えた週末の外泊願いを提出した。
 それからシャワーを浴びる前に、お土産に大喜びしてくれたメリッサに土曜日から1泊で実家に帰ることやシーズンズとの関係、それから土曜日だけ仕事をすることを話した。

 

 メリッサは案の定、物凄く驚いたけれど、不意に真面目な顔になって。


「私達知り合って、まだ1週間も経ってなくて。
 こんなに図々しいお願いをするのは失礼なことだと分かっています」

 急に改まった言葉遣いに、驚いた。
 前回はシーズンズのことを打ち明けても、こんな感じではなかった。
 シドニーといい、メリッサといい……
 前回のままではない?
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