やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 ホテルを訪れるお客様を最前線で迎えるフロントマンとして、女性を採用する。
 私が考え付いたものではないのです、と2年後のドアレディの話もした。
 ポイントなのは、ドアレディと違い、女性と強調せずにドアマンと同じ服装をすることだと繰り返した。


 しばらく祖父は黙っていた。
 想像しているのだろう。
 ドアマンと並んで働く、男性の格好をしたドアガールを。


「どうして、その子をドアガールに?」

「わたしは接客業の女性には、派手な美貌よりももっと必要なものがあると思います。
 メリッサ・ジョーンズ嬢にはそれが備わっていて、何より仕事で自信を持った彼女が自分で将来を選択出来ればいいな、と思います」

「ジェリが思う接客業の女性に必要なものは何だ?」

「お客様を安心させる笑顔、気遣いと清潔感、男性に媚びない上品な女性らしさ、でしょうか」

「……」

「自分は田舎者だ、と自信が持てないようなんですが……
 とても信頼できる誠実な人柄です。
 ホテルも百貨店も、これからは女性目線を考えるべきだと思います」
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