やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 日曜日、滑り込みで19時までの寮の夕食に間に合った。

 クレイトン11:15発セントラル17:15着で、キャブに乗れば寮の前に30分前後で到着して18時には余裕で部屋に戻れたのに。

 キャブが贅沢に思えた私は、大好きなオムニバスで高等学院前まで帰ることにして、1時間以上かかって、ぎりぎりの18:30に寮に帰ってきたのだった。

 駅からいくつバス停に停まったのか、途中で数えるのも嫌になった私は、来月からは絶対にキャブで帰ってくることを決意した。
 
  
 9月の夕方はまだまだ明るくて、昼間の熱気が下がらない。
 バス停から走ってきて汗だくの私を、メリッサが優しく迎えてくれる。
 これ、これ、これが祖父に力説したメリッサの安心感なのだ。


 彼女の笑顔は。
 例えば、初めて王都に来た人をようこそと温かく迎え入れて、不安を消して。
 何度もいらっしゃった常連のお客様には、お帰りなさいとまるでウチに帰ってきたかのように思わせる。
 そんな力がある。


 夕食後、シャワー室に行く前に。
 今朝、ノックスヒルに祖父から電話があったので、それをメリッサに伝えた。
 クリスタルホテルのドアガールに採用したい、と言うことだった。
 
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