やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

17

 クレイトン駅に到着したのは、先月よりも1本早い13時着の列車だった。
 つまり、王都のセントラル駅7時発に乗ってきた。
 当然ながら6時過ぎというあまりにも早い寮の出立時間に、最初は寮母さんはいい顔をしなかったけれど。
 それでも、かつてはご自分もそうだった地方出身者の『出来るだけ、実家に長く居たいのです』を理解してくださって、了解をしていただけた。


 座席で5時間は眠ろうと思っていたのに、眠れなかった。
 寮の食堂はまだ開いていなくて朝食抜きだったので、駅から到着時間を電話連絡した後にパンを買ったのに、食欲がなかった。


 眠ろうと目をつぶると、勝手に脳内でオルが少年の姿になって現れる。
 その姿は、パピーを一回り大きくして、身長は23歳の彼の半分ちょっと?
 綺麗なはずの顔がぼやけているのが残念だ。
 服装もバスローブなのが、おかしい。


 10歳の子供にいそいそと会いに行く16歳の乙女の姿に、我ながら情けなくて笑ってしまう。
 これから顔を見に行く彼が、オルであって欲しいのか、別人であって欲しいのか、判断はつかない。


 今月も迎えに来てくれたモンドにノックスヒルに帰る前に孤児院へ寄って欲しいと頼んだら、『今日はモニカお嬢様は慰問に行かれていません』と教えてくれる。
< 237 / 444 >

この作品をシェア

pagetop