やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 明後日の日曜はメリッサのホテル初出勤なのに、見送ることも出来なくて申し訳なかった。


「先ずは丁寧な言葉遣いとすっきりした姿勢に、上品なメイクの仕方とか研修があるの。
 それと王都に関する情報を叩き込まれるらしいの。
 特にホテル周辺地理に、人気料理店の営業時間におすすめメニュー、それらをお客様に尋ねられても、すぐにお答え出来るように、って」


 彼女以外にも、ドアガールに採用された女性は5人居て、唯一学生のメリッサは週末勤務だが、6人でシフトを回すそうだ。
 その全員がテストに合格するまで、ドアガールはデビュー出来ないらしい。


 11月の末から新年に掛けて、王都はホリデーシーズンになり、訪れる観光客が増えて、ホテルは稼ぎ時だ。 
 2ヶ月の研修後、それに合わせてドアガールをデビューさせるつもりだと思った。 


 12月の第1土曜か日曜にメリッサはドアガールデビューを果たすのだろう。
 それを見られないのは、残念だけれど。
 ベイカーさんには第1土曜日は来ません、と伝えているので、こちらの都合で、違う週に振り替えて貰うのは、甘え過ぎに思えた。

 ……という建前と。
 早くオルくんを確認したい! という本音とがあって。



 友情よりもそちらを優先する私はやはり。

 例の『両想いの恋人がいなかった女は……』の呪いに掛けられている。
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