やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

18

 サンルームに設えられたご令嬢方のランチ会。

 モニカ以外に3人のご令嬢が居た。
 メイドのエマを連れて現れた母と私に、皆様固まった。
 モニカは自分達だけで、とエマを下がらせていた。
 話を聞かれたくないからだ。
 
 
「こんにちはー。
 本日は、ようこそいらっしゃいませ」

 
 母は皆様の反応を見て、しまった、と思ったようだが、私は最近すっかりお馴染みになった
『ようこそいらっしゃいませ』が口に出た。

 ……少しお店っぽいが、まぁいい。
 歓迎している感じは伝わる、と思いたい。


 モニカは無言だが、ただひとりのご令嬢だけがにこやかな笑顔を取り戻して、立ち上がった。


「お邪魔致しております、奥様、ジェラルディン様。
 私、ヴァイオレット・ハントと申します。
 お見知りおきくださいませ」


 ハント嬢がご挨拶をしてくださったので、他のふたりのご令嬢も慌てて立ち上がり、自己紹介をしてくださる。


「まぁま、ハント様?お父様には本当にお世話になって……」


 母はさっき、ご挨拶は受けた、と言っていたのに。
 ご令嬢は招かれた場合は初対面で顔を合わせても、年上の人に対していきなり自分から自己紹介はしない。
 先ずは招いた人が目上の人に紹介して、相手から声を掛けて貰うのを待つ。
< 241 / 444 >

この作品をシェア

pagetop