やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

20

 クララが頷いたので、私は彼に会えなかった絶望に襲われた。
 オルシアナスなんて変わった名前が何人も居るはずがない。
 やはりモニカの言ってたオルくんは、私のオルだった!


 週末お試しの言葉の意味も何となく分かる。
 オルが引き取られるか、今週はそのお試しで。
 どなたかのお宅に一泊で出掛けている、ってこと……

 まだ子供で、それ程目立つ容姿に育っていなくて、美少年ではないのかもしれないけれど。
 あのパピーの庇護欲をそそる感じが10歳になった今でもあれば、彼は今日行った家に引き取られるだろう。


 今日のお家がヴィオンさんなら。
 養子の話は進んで、来月にはもうここには居ない。
 やはり今日はまだ出会う時じゃなかった。


 私が毒に倒れたのが27歳で、そこまで2年すったもんだで。
 25歳には出会いがあって……
 最長、これから9年も待たないといけないの?
 それまでは1度も会っていないの?


「あんなやつ、無理だって。
 誰もあんなの、オルなんて引き取らねぇよ」

「ベンお兄ちゃん!」

「クララだって分かるだろ?
 あんないいとこ、無し。
 身体もひょろくて役に立たないし、性格も暗くて何もしゃべんねぇ……」
< 249 / 444 >

この作品をシェア

pagetop