やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「クララは直ぐにお家が見つかりそうだね?」

 私は彼女の少し癖のある金髪を撫でた。
 6歳くらいだろうか。
 可愛い顔をして、こんなに人懐こい女の子が、今まで引き取られていなかったのは何故なんだろう?


「私はね、どこの家の子にもならないの。
 ここでお兄ちゃんが迎えに来るのを待ってるんだよ」

「お兄ちゃんが居るんだ?」


 思い出した。
 クララはデイビスとファミリーネームを言っていた。

 ここは家族の居ない子だけを育てている施設ではなかった。
 ご家庭の事情で手元で育てられない子供達も預かっている。
 いつか必ず子供を迎えに来ようとしている人は決まった金額ではないが、お金を振り込んでいた。


「お兄ちゃんと暮らせるようになるの、楽しみだね」

 私がそう言うと、クララは本当に幸せそうな笑顔を見せた。



 それから気を取り直して、何かお手伝いさせて貰えますか?と今日のお世話役の女性に尋ねた。
 私には特技も、子供達に教えてあげられそうなものも、何も無い。

 モニカのように刺繍も出来ないし、母のように美味しいお菓子が作れるわけでもない。
 19歳になるまで、勉強しかしてこなかった。

 料理だって、トマトの煮込みしか作れない。
 オルとの短い同棲生活では掃除を担当していたらしいし、私こそメイドのエマから、お掃除の仕方を習おうかな。
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