やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 丘の上の邸から彼等に会いに行くのが難しいのなら。
 反対に彼等から、丘の上の邸に来て貰えばいい。


 孤児院出身者の多い信者達が騒ぎを起こしたのは、モニカの結婚問題だけじゃない。
 彼等には日頃から鬱憤が溜まっていたのだと思った。
 ここから……クレイトンから出て行けずに。
 労働力として給金無しで働かされる毎日に。




 モンドが迎えに来てくれるまで、まだ時間はあった。
 次はクララ達幼い子供を集めて絵本でも読み聞かせようか。


 ぼんやりそう考えながら、皆のところに戻ろうとしたら、ベンが私の前までやって来た。


「オル、帰ってきたよ。
 何も食べてないみたいで、食堂でビスケットを食べてる。
 ジェリー会いたいんだろ? 行ってこいよ」



 オル! オルが帰ってきたの!
 何も食べさせて貰って無かったの!


「ありがとう、ベン! 食堂だね? あっち?」


 慌てる私に、ベンは食堂がどこか教えてくれた。


「お礼はさ、車に乗せて貰うの、大きい俺は最後でもいいからさ。
 皆より長めに走らせてよ。
 それと俺は初等じゃねえから。
 もう中等へ通ってんだよ。
 今度間違えたら、ぶっ飛ばす」
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