やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 トマトの悪口からだったが、思っていたよりオルとの会話は続く。
 幼いパピーとはそれ程話せなかったが、シアの時もオルの時も、彼は決して無口ではなくて。
 どちらかと言えば、耳当たりのいい言葉を甘く話すひとだった。


 ベン曰く、しゃべんねぇらしいが、話題を振れば話してくれた。


 もうすぐ食堂に隣接されたキッチンで夕食の準備が始まるはず。
 サーラさんや他の大人の人もやって来る。
 その目を盗んで、ではないけれど。
 もう少しふたりきりでお喋りがしたかった。



「今日は泊まるはずだったんでしょ?
  サーラさんに報告した?」

「どうせ、俺なんか追い返されるの、あのひと分かってるよ。
 送って貰ったから、あっちから話聞いてるんじゃないの」

「今日はヴィオンさんじゃなかったんだね?」

「ブラウンさんとこだけど、ヴィオンって?」


 また、この口が要らないことを言った。
 どう誤魔化そうか。



「ヴィオンって、外国風な名前だね?」

「な、なんとなく浮かんだだけだよ!
 オルシアナス・ヴィオンって格好良いよね?」 

「格好良いかな?
 俺の名前もさぁ、可笑しいよ」

「そう? 一度聞いたら忘れない、良い名前じゃない?」

「良くないよ、間違って付けられた名前だし」
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