やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……」

「だからね、オルくんのご両親も何かご事情があって、貴方を手離すことになってしまったけれど、神様の名前をつけるくらいだもの、絶対に貴方のことは大切に思っていたんだよ。
 おふたりで海を眺めていて決めたのかもね?
 きっと貴方は生まれる前から愛されていたんだよ」

「……じゃあ、オシアナスに戻した方が良い?」

「自分の人生は自分が責任を取るんだよ。
 名前も同じ。貴方が決めて?
 何か偉そうに言っちゃったけれど、オルくんじゃなくなったら、なんて呼ぼうか悩みそうだけどね」


 オルがオルシアナスじゃない未来に変わりそうな気がした。
 すっかり馴染んだ特別な名前が変わるのは複雑だけれど、オシアナスかオルシアナスか、それとも全く別の名前にするか、決めるのは本人だ。

 暫くオルは、何も言わずに考えていた。
 改名出来るまで、後8年。
 ゆっくり考えたら良い。


 それはそうと。
 彼にちゃんと言わないといけないことがある。


「10歳なら魔力判定あるよね!
 面倒くさがらずに、絶対に受けるんだよ。
 ちゃんと神父様に言ってね」


 魔力判定は王都の魔法庁本部で行われる。
 最近は勝手にないだろうと判断して、お金がかかるからと王都まで連れて行かない親も増えていると聞く。

 その結果、現れた魔力がコントロール出来なくて暴走して、周囲を巻き込む大惨事になった例も新聞で読んだ。
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