やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……」

「普通ならこれで、息子の偽者を引き取る理由は無くなるが、中等入学のタイミングで引き取ったサイモンは健康で、期待以上の容姿をしていた。
 こいつは使えると判断したセドリックは次の寄生先を見つけるために、友人のゲインの息子に学院内での監視役をさせていたようだ」

「シドニー……、サイモンですね、彼の本当のご家族は?」

「両親は既に亡くなっていて年の離れた妹がひとり居るが、この妹は……
 ジェリ、お前もう会ったか?」


 また、表情に出ていたようだ。


「クララ・デイビスがサイモンの妹なら、会いました。
 お兄ちゃんが迎えに来るのを待ってる、と言っていました」

「妹にとってはあいつはいい兄なんだな」


 借金一掃の、火災による一家死亡は、侯爵が手を下したのに違いない。
 どうしてこんな犯罪者が野放しになってるの!


「早く警察に……」

「今の時点で、逮捕はさせない」


 耳を疑った。
 セドリック・ハイパーは、悪魔のような男だ。
 どうして祖父は警察に駆け込まないの?


「私は毒の出所の調べがつくまでは、と考えている」

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