やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 実兄の殺害に、死亡偽装に、放火に、他家への寄生に、黒魔法の毒?
 計画性のない、その場その場で決行した犯罪のように思える。
 どうして今まで逮捕されていないのかが、不思議なくらい。


 祖父の言う通り……警察も信用出来ない程、女王陛下から高位貴族は優遇されているの?
 ……私へのモニカの罪も、陛下が穏便に済まそうと下知されたのを、思い出した。
 それを防いでくださったのが、オルの主のイブリン王太女殿下。


 エドワーズ侯爵の様な、悪の美学もない悪役は小説の中にはなかなか居ない。
 彼の目的はお金、お金、ただただお金だ。

 私の理解範囲を超えている。
 私の物語は、今はオルとの時を超えたロマンス小説のはずだ。
 もしくは、人生を巻き戻して、人間関係を構築し直す私の成長物語。  
 警察さえ信用してはいけない悪漢小説じゃない。


 ◇◇◇


 現時点では、まだサイモンは無罪だと祖父は言う。
 3年後まで母とフィリップスさんは、調査をした上で彼の更正を信じていた、とも。

 だから、怖がらなくても大丈夫だと言われても、私はシドニーを名乗るサイモンが恐ろしくて。
 学院で、その姿を見かけると、慌ててその場から離れた。


 彼自身が使用しなかったとは言え、サイモンはノックスヒルに毒を持ち込んだひとだ。
 最後の最後に役立たずなモニカに使おうと持っていたのだろうか?
 
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