やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 彼等が忠誠を誓うのはクレイトン伯爵だ。
 父がモニカに譲位したなら、その忠誠はモニカに向く。


 そして、働き者の祖父の世代にやたらと好かれるサイモンだ。
 クララを引き取りたいサイモンとモニカを守りたいクリフォードが協力したら?


 クリフォードとカルディナは、他の使用人を近付けさせない。
 食事は必ず別室でエマが立ち会う。
 他の使用人に圧をかけるのはモンドの役目だ。
 王都に連れていかないのは、モニカを守る人数が確保出来ないから。

 彼等以外は所詮クレイトン用に雇われた使用人だ。
 尊大な侯爵に忠実ではないだろう。
 自分達に害さえなければ、要らない報告はあげない。
 モニカの世話をする4人を、ただ見ていただけだ。


 サイモンはモニカを本当には愛していなかったかも知れないが、少なくとも殺すなんて出来なかったのだ、多分。


 3年後の真実なんて分からない。
 あくまでも仮定の話だけれど、事実に近い気がするのは、やはりかつてあんなに憧れたサイモンだからだろうか。
 どうか、そうであって欲しい、と願うのは……



「お、俺は……もうあの家に、あいつに会うのは嫌だ。
 これから、クララを連れて……ここを出る」
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