やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……でも、関係の無い人に迷惑をかけるのは」

「誰にも迷惑をかけたくなくて、13年後にはあんな顛末になるんですよ?
 どうせなら今、迷惑をかけてください」

「……」

「祖父が言ったんです、先を知ってる私達は有利にことが運べる、先手が打てる、と。
 侯爵から悪事を命じられる前に逃げましょう。
 聞かされた時点で、貴方は共犯にされてしまいます。
 幸い、学院では私達は親しくしていません。
 今ならゲインからキャンベルの名前は侯爵には伝わらない。
 祖父を信頼しろ、とは言いません。
 クララちゃんと自立出来るまで、利用してやる位の感覚でいいです。
 貴方の人生を、あんな侯爵に搾取されちゃ駄目です」

「……お姉ちゃん、何言ってるの?」


 誰かが話している間は口を挟まない、賢いクララが私に尋ねた。
 強くて大好きなお兄ちゃんが泣き出したので心配しているのね。

 ひとりで何もかも背負おうとしていたお兄ちゃんだったね?
 口喧嘩して私が勝って、泣かせたんじゃないからね?


 最近、目の前で男性に泣かれることが多いなぁ……

 実は女性より男性の方が、泣き虫が多いんじゃない?
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