やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 話していく内に、現在の18ではなく、13から15にかけての……
 一番多感な少女期に戻ってしまった様なモニカ。


 私はたまらずに、彼女を抱き締めた。
 あの頃の胸の内を少しだけ
 (全部ではないと思う)
 吐き出せたモニカは、ぼうっとして、されるがままだったが。
 やがて自分を抱き締めているのが、憎い私だと気付いて、突き飛ばされた。


「ひとりでいじけて、みっともない私を嗤えば?」

「嗤ったりしないよ」


 モニカは必死に、ここで生き残れるように、いい子を演じていただけだ。
 邪魔者だと叔母に……
 私達に認定されないように。
 何故だか分からないけれど、優しくしてくれる叔母が怖かったのだ。

 いつか掌を返されて。
 叔母がモニカなんて要らないと言えば、嵐の夜でもここから追い出される、と思っていたから。
 唯一、血が繋がっている叔父は、叔母の言う通りにするだろう、と。



 私はずっと母があれ程モニカの機嫌を気にしているのが不思議だったが、モニカの方もずっと母の機嫌を気にして、正解を探し続けていた。


 今もそれが分からずにいるモニカに、私は話すことにした。 
 先月初めて母から聞いた、小さな小さなモニカから貰った恩の話を。


「モニカ、貴女は、母と私の命の恩人なの」

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