やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 モニカにだけでなく、ハント嬢にも、サイモンに抱かれたままでクララが手を伸ばした。
 ヴァイオレットお姉様まで、クララちゃん?  
 孤児院に行ったことが?
 驚く私にお姉様が微笑んだ。


「申し遅れてごめんなさい。
 母が働かせて貰っていて、私も何度かお邪魔したことがあるんです。
 母はサーラ・ハントと申します」


 ヴァイオレットお姉様のお父様のハント様は、王城から東部地方に派遣された行政官で、爵位こそ父より下位の領地なしの子爵家だが、いずれは王都に戻る中央官僚のエリートだ。


 その奥様が孤児院で、子供達のお世話をしていたサーラさん!
 サイモンも驚いたようで、クララを降ろして、眼鏡と帽子を取ってお姉様に丁寧に頭を下げた。


「お母様には妹が、大変お世話になりました。
 先日はお忙しくされていたのに、私もお手数をおかけ致しました」

「子供達が大好きな母なんです。
 微力ながらお役にたてたのでしたら、幸いでございました。
 ヴァイオレット・ハントと申します」
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