やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「じゃあ、君のことも守らないとね?
 ホテルまで送るから、どうぞ私の馬車に乗って?」



 モニカにはもう、師匠しか見えないようだ。
 彼に手を引かれて、素直に少し離れた所に停められている馬車の方へ連れて行かれた。



 師匠がモニカを連れて行ったので、私はモニカを言葉もなく見送っていたサイモンにお願いした。


「私はあのひとと行きます。
 先輩はこちらのハント嬢とメリッサを連れて、ムーアの邸に戻ってください。
 残念ですがケーキは後日で。
 そして、祖父に『ジェリは3年先を先取りする』と伝えてください」


 サイモンに具体的な場所を言わないのは、彼は女性陣を届けたら、直ぐにそこに駆けつけるからだ。
 祖父ならきっと、私の言葉の意味を分かってくれるはず。


「『3年先を先取りする』ですね?
 他にお伝えすることはありますか?」

 横からヴァイオレットお姉様が聞いてくれた。
 このひとなら、このまま馬車の後を追いかけそうなサイモンを叱咤しながら、ムーアの邸へ向かってくれる。


「『私とモニカは、赤い瞳のオルの師匠といます』と」


 これで祖父は相手が魔法士で、普通ではないと分かる。

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