やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 振り向くと、そこには初めて会う、とても……綺麗な。
 長い銀髪の怜悧な美貌の男性が立っていた。


「はじめまして、ディナ。
 私はスピネル・ヴィオン。
 オルシアナスの養父にして、師匠です。
 オルから頼まれて、彼の代わりに13年後から貴方を守りに来ました」


 オルシアナス・ヴィオンの養父と名乗った、その美しいひとは。
 ルビーの様な赤い瞳を輝かせていた。



『13年後から』と聞いて、モニカとサイモンの表情が変わる。
 それまで均等に、私達を満遍なく見ていたヴィオン師匠だったが、モニカに目を止めたようだ。


「貴女は時戻しの、ご存知ですか?
 お名前を伺ってもいいかな?」


 とても美しくて、優しげに話すけれど、この方は男性で。
 初対面の男性に警戒心を持っていたはずのモニカは、彼から手を取られて尋ねられて。

 その美しい顔にまるで魅入られた様に、素直に自分の名前を口にした。 
 さすが従姉、面食いの血は争えない、なんて軽口はたたけない。


「モニカ・キャンベル……ディナの従姉ですね?
 今日はクレイトンから出てきたんですか?」


 呆けた様にモニカが頷くのを、ヴァイオレットお姉様が心配そうに見ている。
 こんなモニカの様子は初めて見るんだろう。
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