やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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「その場所は祖父にだけ分かるように、サイモンに伝言を頼みました。
 魔法庁に祖父が一報をいれて、誰かが助けに来てくれたら。
 白黒魔法士同士の戦いを遠慮なしに行える場所じゃないかな、と思ったんです。
 そういうの、お嫌いじゃないでしょ、オルの師匠なら」

「アレの師匠ねぇ……違うと、いつから気付いていたんですか?」

「私のことをディナ、とお呼びになったから。
 あぁ本物の師匠ではないな、と直ぐに分かりました」

「……君はアレからそう呼ばれてるでしょう?
 合わせたつもりだったんだけれど」

「ディナは、オルだけが呼んでいい名前なんです。
 彼ひとりだけが呼んでいい名前を、師匠なら呼ぶはずがないんです。
 ヨエル・フラウさん」


 本当の名前を呼ばれて、黒魔法士は邪悪な微笑みを見せた。


「正解をしてくれた御礼に、君がお膳立てする舞台へ行きましょうか。
 そこで私が主役の物語を聞かせてあげましょう。
 ……どうせ、この頃の魔法士で私に勝てる奴なんて居ないんですよねぇ。
 まだ10歳のアレが助けに来てくれるなんて、希望は持たない方がいいですよ」

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