やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「……捕まった私は命は取られなかったけれど、魔力封じの耳飾りを外せないように装着されて、魔獣がうじゃうじゃ出現する辺境に追放されました。
 実質的な死刑ですよ?
 何度も死にそうな目に合いながら、私が生き延びて辺境を脱出出来たのはどうしてだと思います?」


 私が分からないと首を振れば、ヨエルは嬉しそうな笑顔を見せた。
 それは今日見せた白々しい笑顔の中で、一番本当に近い笑顔に見えた。

 そして、長く伸ばした銀色の髪をかきあげて、私に左耳の……
 左耳があったはずの場所を見せた。



「魔法が使えないですからね、自分の素手で。
 引き千切ったんです。
 魔力さえ戻れば、痛みは無くなる、と分かっていても。
 なかなか勇気が出なくてね、やはり怖かったです。
 今までこれ程痛かったことは無かったなぁ」

「……」

「あぁ、やっと……怯えた目を見せてくれましたね?
 ずっと、待っていたんです。
 君は本当に可愛げがなくて、平気そうにしていたでしょう?
 自分の置かれている状況が理解出来ていない馬鹿なのか、心配していたんです。
 でも、ようやく怖がってくれました。
 午前中にね、セドリックとバーバラにも挨拶に行ったんです。
 彼等は素直に怖がってくれましたよ」

「エドワーズ侯爵夫妻を殺害したの?」

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