やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 本当はここに居たかった。
 オルがヨエルに負けるなんて思わないけれど、この場で見守りたかった。
 だけど、私が居たらオルの邪魔になるから、ここから離れるべきなのも分かっていた。


「あぁ、そうか……」

 そう言って、オルはヨエルに声をかけた。


「お前だってプライドがあるだろ、外れ。
 彼女達はここから出す。
 人質が居ないと俺に勝てないから、なんて泣き言は言わないよな?」

「……そうだな、残念だが、この女にお前の殺られるところを見せつけて壁に埋め込むのは諦める。
 だがな、お前を殺った後は、じいさんも含めて全員を嬲り殺してやる。
 おい、外に出ても、逃げられると思うなよ? ディナ。
 お前だけは必ず、這いつくばらせて泣かせてやる」
 

 その言葉は私を脅すより、オルに聞かせるように言ったように思えた。
 どうしてそこまでして、オルを怒らせたいのか分からない。

 そこに勝機があるの?
 とにかく、ヨエルの手には乗って欲しくない。


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