やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 初めて間近に見る魔力に目を見張るばかりの私達だが、やがて祖父が私とモニカに謝った。

 現在20歳のヨエルが魔法学院教官なので安心していて、万が一こちらの動きに気付かれても、自分が狙われるのは覚悟していた、と言う。
 まさか33歳のヨエルが時戻しを行って、関係者を順番に粛清していくとは思っていなかったそうだ。


 午後に魔法庁から緊急連絡があり登城したら、逃亡したヨエルを追ってきた23歳のオルとヴィオン師匠を紹介された。
 祖父の予定では、侯爵とヨエルを訴えるのは来週の27日だったのに、ふたりの犯罪が既に魔法庁の機密文書扱いで残されて、13年後に侯爵夫妻が逮捕されたのは、思いも寄らないことだったらしい。


 今の自分達が行ったことによって結果が変わるはずだったのに、まだ行っていないことで先が変わってしまったことが、よく分からなくて。

 祖父もとにかく混乱していて『これが大人のオルシアナスか』と説明を受けながら、それだけが頭が占めて、オルの為人を観察することに気を取られてしまった、と少し悔しそうに話してくれた。


 逮捕に向かった侯爵夫妻が死後何時間か経っていた惨殺死体で見つかった、との報せが入り、慌ててムーアの邸に帰ると、戻ってきたサイモン達と顔を合わせて。
 
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