やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「魔法士同士の闘いは、勝った方が相手の魔力を喰う。
 スピネルの攻撃技はナイフのように切る技でね。
 数は多いが、深くはない。
 オルは反対に内から骨を砕くタイプだ。
 スピネルが学院を追放されてから会得した技で、知らなかったあいつはこの馬鹿を防げなかった。
 こいつはスピネルの魔力を喰ったから、これからは今まで以上に手が付けられなくなる」


「骨を砕く技なのに、どうしてスピネルは出血したんですか?」

 それも、オルが被る程大量に?


 オルが下を向き、師匠が苦々しげに笑った。
 そして抱え直すように、肩を組んでいた腕の位置を変えた。
 そのせいで傷に触れたのか、うぐっ、とオルが短く唸って、悶絶した。
 多分、師匠はわざとオルを痛め付けたのだろう。


 ◇◇◇


 痛みに呻くオルを無視して、ヨエルとの対決を師匠が説明してくれた。



「絶対に俺の手で殺す、と」

 私からオルの言葉を聞いて、師匠は慌てて倉庫の中へ移動した。
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