やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 フィリップスさんの言ってた『酔っぱらいの喧嘩』だ。
 このままでは四肢切断の恐れあり、と師匠の止める声も聞こえていない状態のオルを、師匠は爆風で吹き飛ばした。


 死体にして持ち帰ったら、大問題になる。
 師匠からしたら、それでも良いじゃないか、と思うが、上層部はそう思わない。

 自分達の命令を無視したオルシアナスを、王太女殿下が庇っても処分しようとするだろう。
 魔法士は王家を守る立場なので、女王陛下でさえ、その決定には簡単に口出しが出来ない。

 下手をすると、魔力喰いしたスピネルの分も強力になった彼は魔力封じの耳飾りを付けられてしまう。 
 あれは魔力の放出が出来なくなるので、オルは狂っていく。


 耳飾りを付けられて徐々に狂い始めたスピネルは、自分の手で耳を引き千切った。
 絶対にオルはそんな目には合わすな、と王太女殿下にも言われている。


 また、ふらふらとオルが性懲りもなく立ち上がってきたので(まさに酔っぱらいだ)、再び爆風で吹き飛ばした。
 それが2回の小さな爆音の正体。


 次に師匠は、骨を砕かれ、全身を切られて、息絶え絶えのスピネルを凍結して小さくした。


 小さくした?

 師匠が胸元から球体を取り出した。

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