やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 あれから月日が流れ。
 
 私は法学部に合格した。


『身内に弁護士が欲しい、とお祖父様が仰っていた』
 入試前のムーアの集まりで、皆の前でそれを押し通した。
 

 祖父はそれを聞くと、もう何も仰らなかった。
 けれどゼイン伯父には、商売の道に進むべきだと何度も呼び出された。
 高等学院在学中の3年間続けたシーズンズのちょっとした改革案を、伯父は良かったと言ってくれて。
 その道の方がジェリーには合っている気がする、と惜しんでくださった。


 改革案と言われる程の提案をしたわけではなかった。

 ①名物の行列に整理券の配布をすること。
 ②店前の道路に飲み物販売のカートを設置すること。
 ③お客様の注文を受ける行列係に、本日販売のケーキの写真を載せたメニュー表を持たせること。

 以上の3点。


 ①は文字通り整理券の時間が来たら、店頭に戻っていただくことにした。
 例えば、来店してくださってから30分並び続けるのと、20分他の場所で時間を潰して戻って10分待つのとでは、負担が違うと思った。


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