やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
 人々はここで、ニュージェネシスで踊った後、歩いてきた足を一旦休めて、アルコール以外の物を口にする。
 それが『シーズンズ飲む』だ。


 ニュージェネシスがオープンしたことで、このエリアの不動産価値は急上昇して、家賃も高い。
 私がゼイン伯父に最後に提案したのは、高額な賃貸料のかかる店舗を出すのではなく、立飲みするカートでの商売だ。

 当然、この場での営業許可を取ってくれたのはフィリップスさんだった。


 オルが頷いたので、私はクレイトン産の林檎ジュースを2杯買って、ひとつ彼に手渡した。 
 この林檎は他の品種より酸味が強くて、カート販売が始まるまで取引がなかった。


「あー、生き返る。
 酔ってるのに、走らせてごめん」

「そんなに酔ってないから……それより。
 ここで使われている保冷魔石、貴方が用意してくれたんでしょ?」

「……」

「お祖父様には、まだ学生の間は貴方には絶対に接触しないで、って頼んでいたのに、ごめんなさい。
 頼まれて断れなかったんだよね?」

「じぃじからじゃない。
 俺から、11の時かな、会いに行ったんだ」 

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