やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない

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 ニュージェネシスの入口前には、入店待ちの行列が出来ていて。
 その場にいきなり現れた私達を見咎めた人達から、悲鳴があがって。


 オルが私の手を握って走り出した。
 行列とは反対側の通りに出て、ひたすら走る。

 きっとゆっくり走ってくれているのだろうけれど、運動不足の24歳の女は、18歳の若者の脚力にはついていけない。 


 こんな時こそ、さっきの移動手段を使うべきなのでは……
 もう限界だと思った。


 次はキャブ乗り場の待ち行列にぶつかった。
 ここまで来て、ようやくオルは足を止めた。
 もう、私の足はガクガクだ、情けないけれど。


 ニュージェネシスの店前道路には、混雑を避けるために自家用車やキャブを横付け出来ない決まりになっていて、少し歩いた所に乗り降りの場所も作られていた。


 もちろんそこにも、通りにも店が用意した警備員が常時居ることで、この辺りの治安は良い。
 女性だけのグループでも、夜遅くても安全なエリアになっている。


「喉が乾いたね。
 シーズンズ飲む?」


 キャブ乗り場の近くには、シーズンズが出したカートが有り、それは本店前に出しているカートと同じ物だ。
 本店前では20時過ぎに営業を止めて、21時からはこちらに移動して、冷たいジュースと温かいお茶を提供している。

 
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