やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「それで、お母上から『今日はお嬢さん達と踊りに行ったわよ』って聞いて。
 俺の歳じゃ普通に入場出来ないから、ああ言う感じの登場になりました。
 驚かせてごめんなさい」



 頭を下げられたから、私は背伸びしてオルの髪を撫でた。
 年下だから、子供扱いしている訳じゃなくて、フードを脱いだ貴方の髪が乱れていたから。

 
「別にあいつのした通りに、同じ経過をなぞらなくても、いいよね?
 俺は1年半も、もたもたしない」

「決まっていた運命より早く会いに来てくれて……
 会いたくて、私はもう限界だった。
 嬉しかった、ありがとう」



 今夜は月が綺麗だから、のんびり行こう、と。
 ウチに向かって、私達は歩き出した。



「そうだ、俺はトマト克服したからね。
 ディナの唯一の得意料理、絶対に食べたかったからさ、どんどん作ってよ」


 克服……オルの方から料理の話題が出たから、思いきって言ってみた。
 8年前に宣言した卵料理制覇の……


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