やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「お願いだから、俺の得意分野、減らさないで?」

「……」



 未成年とは思えない色気に、慌ててしまう。


「も、門限大丈夫?
 何ならさっきみたいに一瞬で、ウチに」

「もう卒業も就職も決まってるのに、今更停学にはならないよ。
 それに今夜は師匠にちゃんと言ってきたし、遅刻公認だから」


 師匠が遅刻公認……魔法学院、意外と緩い。


「何かさ、俺なんだけど、あいつのこと腹が立つんだ。
 ディナが俺の名前、オルシアナス・ヴィオンって格好良いって言ってたから、18になったらそうしようと思ってた。
 そしたら、学院で会った師匠がヴィオンだし、どういうこと?って……
 でも、手紙読んだから。
 あいつがヴィオンだから、格好良かったのかな、と思って」

「……それは腹が立ったよね、ごめんなさい」

「謝って欲しかったんじゃないし、仕方ないんだよ、今なら分かる。
 ディナが悪いんじゃない。
 どっちも俺なのに、何でかな。
 こんな責めるみたいに話して、ごめん。
 俺って……自分に嫉妬して、みっともないね」


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