やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「モニカは希望通り、伯爵位と領地と名誉を取り戻し。
 次男のシドニーは、無事に愛する女伯爵に婿入りをして。
 貧乏くじを自ら引いたふたりは、清貧の中でも、真実の愛さえあれば大丈夫だと、いつまでもいつまでも幸せに暮らしました、とさ。
 これぞハッピーエンド、めでたし、めでたし」

「……ディナ?」


 モヤモヤした理由が分かったことで、私のふわふわしていた恋心は急速に冷め始めていた。
 今はオルに対する反発心が頭をもたげてきている。


 ただ、と言いかけたオルの話の腰を折ったことは自覚している。
 オルが戸惑ったように、話終わった私を見ていた。
 声の感じから、機嫌が悪いと気付いたのね。
 だけど、不機嫌の理由には思い当たってはいない。




 オルは自分の代わりに、時戻しの魔法をかけた私を、3年前に送り込みたいんだね。
 でもね、残念ながら、もう私は16歳の田舎娘じゃないの。


 ちょっと自分の顔がいいから、って。
 その顔に私が弱いから、って。
 思い通りに出来るとは思わないで。


 自分が厄介な性格だと分かっている。
 自分が納得しなければ動かないの。
 どうしてこんなに可愛げがないの。


 だけど……これが私。
 やる気ゼロの肩書きだけの伯爵令嬢。

 ジェラルディン・キャンベル・クレイトンなんだ。
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