やる気ゼロ令嬢と時戻しの魔法士*努力しても選ばれなかった私は今度こそ間違えない
「シドニー・ハイパーがこれからの私の人生で、大きな位置を占めると思えないの。
 あのふたりとの関わりは昨夜で終わった。
 10年後の私はオルシアナス・ヴィオンを愛していて、一緒にも暮らしていた。
 シドニー個人と付き合うわけがない、と言い切れる。
 唯一考えられるとしたら、クレイトンの継承問題がまだ続いていた、ということ?」

「……クレイトンについては片がついていた。
 君の父上は成人したモニカに伯爵位を渡して、伯爵家で働いていた皆には、きちんと仕事を斡旋して。
 母上はご実家と相談してクレイトンから手を引くことにして、ムーアの関連各社との取引停止をモニカに宣言した。
 ご両親は喜んで王都へ帰って以前の仕事に戻り、リアンは貧しい領地と次期伯爵の重圧から逃れられて、人生を満喫していた、ただ……」

「それを聞いて安心したわ。
 母は伯爵家を維持しようと、領内の産業を発展させるために頑張っていたけれど、離れるとなったら大喜びしたでしょうね。
 長年仕えてくれた使用人の皆にも次の仕事先を紹介出来ていたのなら、全てが丸く収まったのね」

「……」
< 93 / 444 >

この作品をシェア

pagetop