沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「このペン、借りる」
ボソリとつぶやいた東条くん
「来れなくなったら、連絡して」
遊園地の夏祭りチラシに、ボールペンを走らせた。
ワイルドな見た目からは想像できないくらい、綺麗で達筆な文字。
彼の名前とスマホの番号が、チラシの右上に記されていく。
東条くんは、真っ赤な顔を隠すように口元に手を当て
私に背を向けると
「夏祭り……楽しみに……してるから」
甘さと恥ずかしさを溶かしたような、ワイルド声を震わせ
教室を出て行ってしまった。
「……今の……なに?」
私の目の前に座っているアズちゃん。
バケモノに遭遇したかのような驚き顔で、口をポカンと開けて固まっている。
もちろん私も、口ポカン。
夢なのか現実なのか?
それさえもわからず、脳みそはぐちゃぐちゃ状態に。