沼甘総長は、左手の薬指を独占したい
「あんた、喧嘩が強いんだな」
お兄さんを睨み倒すような怖い顔で、朝都くんが重い溜息をついている。
お願い、東条くん。
挑発しないで!
東条くんは喧嘩が強いって、噂で聞いたことがあるよ。
暴走族の総長だって。
でも……
相手は大人だよ。
ナイフを隠し持ってたら、グサッとお腹を刺されちゃうかもしれないのに。
お兄さんに肩を抱かれたまま、私は東条くんの心配をしてしまうのだけど。
東条くんは相変わらず。
お兄さんのことを、ブチ切れ寸前の魔王みたいな目で睨みつけている。