捨てられ傷心秘書だったのに、敏腕社長の滾る恋情で愛され妻になりました【憧れシンデレラシリーズ】
このロージアンホテルにあるイタリアンレストランは、本場の三ツ星レストランで修業したオーナーシェフの店で、通常ならば半年前に予約しなくてはいけない。
接待で使うため箕島商事の名前で年間ある程度の席は確保しているが、最低でもひと月前でないと予約を受けてもらえないはずなのに。
やっぱりすごいな。社長が言えばすぐに用意されるんだ。
こんなところでも、彼と自分の立場の違いを感じる。
車止めに停車し、ドアマンにキーを渡す。正面玄関から中に入ると、壮年のコンシェルジュがやってきて恭しく頭を下げた。
丁寧な扱いに慣れていなくて緊張する私とは違い、社長は軽く挨拶を済ませている。
そのままコンシェルジュに案内されてエレベーターに乗り、高層階のレストランに到着すると個室に通された。大切なお客様の接待などで使う部屋だったので驚いたけれど、ここで固辞すればスタッフにも社長にも迷惑がかかってしまう。
自分には分不相応だと思うが、今日は仕方ない。
窓際の席からは東京の夜景が一望できる。接待で高級店に出入りすることはあるが仕事に集中しているため、楽しむ余裕などない。しかし今日はプライベートだ。仕事の時とは違い、窓の外に広がる景色にゆっくりと視線を移す。
「綺麗ですね。東京に出てきて初めて見た夜景を思い出します」
大学生になって憧れの東京に出てきた。入学式の前日に上った東京タワーから見た夜景が頭の中に思い浮かぶ。
「夜景か。ゆっくり楽しむなんていつぶりだろうな」
社長も視線を窓の外に向けている。同じ景色を見ながら彼が今なにを考えているのだろうと、そっと表情をうかがったがわからなかった。
ただ仕事中とは違う、穏やかな表情を浮かべている。
秘書という立場でいつも彼のそばにいるのに、こうやって向かい合って食事をするとなると、どうやって話を切り出せばいいのかわからない。
なんとなく落ち着かずにそわそわしてしまう。
そんな私の気持ちに気が付いたのか、社長が笑いながらメニューを開いた。
「まずは食事を楽しもう。結婚についてはその後だ。食事中は思う存分口説かせてもらうよ」
口説くって……私は断るつもりなのに。
余裕たっぷりに笑みを浮かべる社長は、どうにかして私に結婚を承諾させる気だ。
「船戸は食べられないものはなかったよな? アルコールは結構いけたはず」
「いえ、社長がお車なので、私も結構です」
お酒は好きだが、さすがに上司を差し置いてひとりだけ飲むわけにはいかない。
「俺のことを気にしてるなら、構わずに飲めばいい。その方ががちがちに固まった体が少しはリラックスするんじゃないのか?」
彼は私が緊張しているのをお見通しだった。
それならば、少しくらいいただいてもいいのではないだろうか。
彼の言う通り、このままでは言いたいことが言えずに押し切られてしまいそうだ。
「では、お言葉に甘えて、一杯だけ」
ドリンクのリストを渡されて、イタリア生まれのカンパリとグレープフルーツを使ったスプモーニを選ぶ。
接待で使うため箕島商事の名前で年間ある程度の席は確保しているが、最低でもひと月前でないと予約を受けてもらえないはずなのに。
やっぱりすごいな。社長が言えばすぐに用意されるんだ。
こんなところでも、彼と自分の立場の違いを感じる。
車止めに停車し、ドアマンにキーを渡す。正面玄関から中に入ると、壮年のコンシェルジュがやってきて恭しく頭を下げた。
丁寧な扱いに慣れていなくて緊張する私とは違い、社長は軽く挨拶を済ませている。
そのままコンシェルジュに案内されてエレベーターに乗り、高層階のレストランに到着すると個室に通された。大切なお客様の接待などで使う部屋だったので驚いたけれど、ここで固辞すればスタッフにも社長にも迷惑がかかってしまう。
自分には分不相応だと思うが、今日は仕方ない。
窓際の席からは東京の夜景が一望できる。接待で高級店に出入りすることはあるが仕事に集中しているため、楽しむ余裕などない。しかし今日はプライベートだ。仕事の時とは違い、窓の外に広がる景色にゆっくりと視線を移す。
「綺麗ですね。東京に出てきて初めて見た夜景を思い出します」
大学生になって憧れの東京に出てきた。入学式の前日に上った東京タワーから見た夜景が頭の中に思い浮かぶ。
「夜景か。ゆっくり楽しむなんていつぶりだろうな」
社長も視線を窓の外に向けている。同じ景色を見ながら彼が今なにを考えているのだろうと、そっと表情をうかがったがわからなかった。
ただ仕事中とは違う、穏やかな表情を浮かべている。
秘書という立場でいつも彼のそばにいるのに、こうやって向かい合って食事をするとなると、どうやって話を切り出せばいいのかわからない。
なんとなく落ち着かずにそわそわしてしまう。
そんな私の気持ちに気が付いたのか、社長が笑いながらメニューを開いた。
「まずは食事を楽しもう。結婚についてはその後だ。食事中は思う存分口説かせてもらうよ」
口説くって……私は断るつもりなのに。
余裕たっぷりに笑みを浮かべる社長は、どうにかして私に結婚を承諾させる気だ。
「船戸は食べられないものはなかったよな? アルコールは結構いけたはず」
「いえ、社長がお車なので、私も結構です」
お酒は好きだが、さすがに上司を差し置いてひとりだけ飲むわけにはいかない。
「俺のことを気にしてるなら、構わずに飲めばいい。その方ががちがちに固まった体が少しはリラックスするんじゃないのか?」
彼は私が緊張しているのをお見通しだった。
それならば、少しくらいいただいてもいいのではないだろうか。
彼の言う通り、このままでは言いたいことが言えずに押し切られてしまいそうだ。
「では、お言葉に甘えて、一杯だけ」
ドリンクのリストを渡されて、イタリア生まれのカンパリとグレープフルーツを使ったスプモーニを選ぶ。