LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「いいなあ、瑠璃は。まっすぐで」

「急に何よ」

()めてるの。羨んでるの」

「今日の直哉はよくわからないわ」

「わからなくていいよ」

 すでに汗をかいているビールジョッキを見て、直哉は答える。

 今日は瑠璃の話を聞きにきたはずなのに、俺は何を言ってるんだろう。

 二人の間に沈黙が降りた。

 瑠璃は唐揚げをひとつ食べたあと、ポツリと言った。

「今頃、あの店で二人きりなのよね」

 悔しそうな悲しそうな、なんとも言えない口調だった。

「邪魔しにいくなよ」

 いつもの調子を取り戻して、直哉が茶化す。

 瑠璃はため息をついた。

「帰るわ。代金はあとで請求して」

 席を立つ瑠璃に、はーい、と軽く返事をする。

 残された料理はすっかり冷めており、直哉は食べる気力をなくしていた。




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