LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

30 瑠璃の思い

 瑠璃は腹立たしいような悲しいような、複雑な気持ちで歩いていた。

 居酒屋は駅から近かった。歩き出してすぐに、闇に浮かぶ明るく大きな駅ビルが目に入った。

 羨んでる、という直哉の言葉。

 羨んでるのは私の方よ。

 あなたは男だから、ずっと瑶煌の友達でいられる。だけど、私は……。

 もともと瑶煌が自分を女として見ていないことには気付いていた。それでもいいと思っていた。

 MEILLEURS SOUVENIRS(メイユール スーベニール)では、瑠璃は孤立していた。

 性格が災いした。

 同期で集まって飲み会をしたときに、愚痴を言う同期に努力が足りないだのなんだのと言ってしまった。

 みんな努力してるのに。

 あなたほどできないからって、ひどくない?

 口々に反論され、失敗を悟るが、もう遅かった。

 結果を出せばみんなわかってくれる。

 そう思って一層仕事をがんばった。

 だが、孤立を深めるだけだった。

 どうしてそうなってしまうのだろう。

 間違ったことは言ってないはずなのに。

 努力しているのに。

 成績だけが頼りだった。

 同期に認められなくても、店長や先輩たちに認めてもらえたら。

 そう思って必死にがんばった。

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