LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

43 意地悪

 さんざんだ。

 閉店作業を免除された藍は、疲弊(ひへい)を隠しようもなく、ヨタヨタと荷物をとりにロッカーに行く。

 瑶煌(たまき)は病院まで送ると言ったが、藍は固辞した。

 注文の〆切が迫っているのを知っていたから。

 瑶煌はまた工房に行き、ロッカーの前には閉店作業をしているはずの瑠璃がいた。

「お疲れ様です」

 言って、荷物をもってさっさと帰ろうとしたのだが。

「瑶煌から聞いたんだけど、アクアマリンのペンダントをもってるんだって?」

 珍しく話しかけられて、藍は一瞬、身を引いた。

「はい」

「ちょっと見せてもらえる?」

 藍は戸惑う。いつになく話し掛けられるが、友好的な雰囲気はまったく感じない。

「早く!」

 疲れていた藍は、考えるのをやめた。シャツの下につけていたペンダントを引っ張り出してはずし、瑠璃に手渡す。

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