LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「大丈夫、石は割れるもの。壊れるもの。普通のこと」

 以前ペンダントが壊れたときは、金具だけだった。だから残念には思っても、こんなに胸が痛くはならなかった。

 よく言うじゃない。お守りのひもが千切れたりしたときに、「身代わりになってくれたんだよ」って。きっとそうだ。私を災厄から守って壊れたんだ。

 だから、ダメ。泣いたらダメ。本当にダメになってしまう。

「君を支えたい」

 直哉の言葉が頭に響く。

 だったらほうっておいてほしかった。

 なぜ今日、あんなことを。

 アクアマリンが壊れて、心が壊れそうなときに、なぜ。

 思えば思うほど、涙がこぼれてくる。

 アクアマリンの言葉は「勇敢」。

 藍には縁のない言葉。いつも勇気がなくて無難に生きようとして、失敗して。

 勇気が欲しい藍に、いつも勇気をくれた石。

 もう、壊れてしまった。

 藍は手で顔を覆った。

 両手で目をふさいでいる藍には、光など見えなかった。





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