LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

47 自問自答

 * * *


 工房で、瑶煌(たまき)は自問自答していた。

 一応の作業道具は机に置いてはいるが、まったく手は動いていない。

 通常の客の依頼のほかに、瑠璃からの注文のピアスも作らなければならなかった。

 加えて、今の瑶煌にはもう一つ作りたいものがあった。

 藍をイメージして作ったアクアマリンの指輪だ。

 仕事中はお客様のものを。

 休憩時間中は自分の作りたいものを。

 苦ではなかった。好きな仕事だったから。

 そのぶん工房にこもりきりで、店のことはかまっていなかった。

 もっと店に立つべきだったと悔やまれるが時間は戻せない。

 藍に贈るための指輪の原型は、何度も作り直し、今はまだ途中だ。

 一番素敵なものを、と思うと納得がいかなくて、作り直してしまう。

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