ＬＥ ＣＩＥＬ ＢＲＩＬＬＡＮＴ 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

　瑶煌はそんな彼女に気付かず続ける。

「正直、俺は瑠璃がわからなくなった」

「どうして」

　瑠璃の気持ちは伝わっていない。

　それはわかっていた。

　瑶煌はいい人だから、女性の下心をあまりわかってないようなところがある。

　私はそれをわかっている。こんなにわかっているのに。

「私はこんなにあなたのことが好きなのに」

　気持ちがあふれて、零(こぼ)れた。

　瑶煌が息を飲むのがわかった。

　ああ、世界が壊れた。

　瑠璃ははっきりとそれを悟った。

「……俺は」

　どう言おうか、瑶煌が迷っている。どんな言葉であろうと、それが瑠璃を瑶煌の世界に入れてくれない言葉になることはわかった。

「言わなくていいわ。わかってる」

　私はわかってる。あなた以上に、あなたを。

　瑠璃は踵(きびす)を返した。

　暗い闇の中へ、一人、歩いていった。