LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
縦型のロッカーの下部に、藍はバッグをおいている。そのバッグから、白い布がはみだしていた。藍のものではない。

 何これ。

 嫌な予感が強まる。

 おそるおそるそれを手に取ると、包まれた何かが転がりでた。それをつまみあげる。

 見覚えのあるカメオだった。

 あのご婦人の修理依頼のカメオ。

「なんでここに……」

 思わずつぶやく。顔から血の気が引いた。金庫に入れたはずだった。

「ちょっと、何もってるの?」

 目ざとく見つけた瑠璃が聞いてくる。いつもは藍の存在など無視しているのに。

 覗き込んだ瑠璃は驚いて叫んだ。

「金庫に入れたカメオ! なんであなたが持ってるの?」

「し、知らない、私じゃない」

 動揺してどもる。これじゃ怪しさ倍増だ、と自分でも思う。

 修理依頼のカメオがどんなものか、瑠璃も知っている。受付をしたあと、藍の目の前で瑠璃が金庫に入れてくれた。藍は金庫の番号を教えてもらっていないから。

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