LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

69 ブルースカイストーン

 間に合った。

 藍はホッとしていた。

 あのあと藍は救急車に再び乗せられ、病院に運ばれた。

 申し訳ない、と救急隊員に言ったら、

「緊急時のために私達がいるんです。大丈夫ですよ」

 と言われた。泣きそうになった。

 瑶煌はまたつきそってくれた。

 出血のわりに傷は浅く、少し縫うだけで済んだ。

 病院で治療をしてもらったあと、彼は藍をタクシーに乗せて見送ってくれた。

 別れの言葉はあっさりしたものだった。

「家まで送りたいんだけど、ごめん。急いでやらないといけないことがあって。あと少しで完成なんだ」

 お客様の急ぎの依頼が残っているのかな、と藍は思った。昨日も何やら作業していたらしい会話を思い出した。

「大丈夫です。タクシーですし」

 少し寂しかったが、藍も早く帰らなければならない理由があった。

 彼があのときの少年であることを本人に確認できないまま、藍は帰った。

 引っ越しの人が来ちゃう、と焦ったが、なんとか間に合った。

 業者の人はてきぱきと荷物をトラックに載せていく。

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