育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
ついでにさっきの同意書の疑問も説明してもらって、ICは終了。あとは病棟に上がって、手術に備えるだけだ。

本来なら全身麻酔で手術をする場合は、手術日の2日前に入院するのが原則らしい。でも、妃織は小さいこともあり入院が長期化しないでもいいよう、今日入院で午後から手術、という予定を組んでくれたそう。

その配慮が、ありがたかった。


「さて、お母さんの傷の処置もしてしまいましょうか」


妃織を抱っこして診察室を出ようとしたときにそう言われ、ドキリとする。やっぱり……ダメだったか。

昨日の処置が痛くて痛くて、正直もう処置はしたくない。と思ってしまった。こんなことを言ったら子どもみたいと笑われてしまうかもしれないけれど、全力で逃げたい。


「美優、傷の処置している間、妃織のこと見てるわ」

「うん……外で待ってて」


母にそう言われ妃織を受け渡すと、1人診察に取り残されてしまう私。診察室のベッドに腰かけると、消毒液や包帯が置かれているワゴンを看護師さんが持ってくる。

うわぁ……。始まる。
この始まるまでの緊張感が、私はどうも苦手だ。


「痛い……ですよね?」

「うん、もちろん。でも、昨日よりは少しマシかな」


そう言いながら、山内先生は使う物を手際よく準備していく。鑷子を持って綿球に消毒をしみ込ませた瞬間、じんわりと背中に嫌な汗を感じた。
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