育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました
両親は先ほど麻酔科のドクターから手渡された同意書をぶつぶつ声に出しながら復唱していて、こちらはこちらで初めてのことで、不安があるようだった。
考えてみれば、両親も手術はしたことはない。父も母も至って健康体で、病院知らずだったもんね。

途中「おい、これってどういう意味だ?」と父に尋ねられたけれど、素人である私がわかるはずもなく、後ほど主治医である山内先生に聞いてみることにした。


「川崎妃織さん、2番診察室へどうそ」


絵本が読み終わったと同時に診察室から声が掛かり、妃織を抱きかかえて2番診察室へと入る。中に入ると椅子が3つ用意されていて、私と両親の分だということがすぐにわかった。

山内先生と向かい合った状態で椅子に腰かけると、山内先生は妃織の右大腿部のレントゲン写真を大きな画面に映し出した。


「こんにちは。こちらは……川崎さんのご両親かな?」

「はい。私の父と母になります」

「初めまして。今回妃織ちゃんの手術を担当します、整形外科の山内です。今回ですね、妃織ちゃんは右大腿部の……」


映し出されているレントゲン画像を見ながら、救急外来で私にしてくれた説明を両親にも同じようにしてくれる山内先生。疑問が沸いた際には質問をしていて、理解ができるまでその都度丁寧に答えてくれる。
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