育児に奮闘していたら、イケメン整形外科医とのとろあま生活が始まりました

45日間の入院生活

妃織の手術が終わって2週間が経過した。
左下肢は手術後からギプス固定がされていて、まだベッド上での安静を指示されている。

退屈するといけないと思って、毎日母が絵本を交換しに来てくれ、それを読み聞かせたりして過ごす。それでもやっぱり飽きてしまったときは、しかたなくDVDプレイヤーで子ど向けDVDを一緒に観たりしていた。

職場に長期休暇届を提出し、妃織が退院できるまでは付き添うつもりだ。
そもそも私の庇い方が悪かったせいでもあるし、その罪滅ぼし……ではないけれど、妃織の歩行が安定するまでは一緒に過ごしたかった。


「川崎さん、入りますよ」


朝食を食べ終わり、一息ついていた午前8時20分。
ノック音とともに聞こえて来た声は、主治医の山内先生だ。外来診察の前に決まっていつも回診に訪れ、私と妃織の様子を見に来てくれる。

彼はあれから私の左膝の傷の処置も病棟で施してくれ、だいぶ治癒してきた。傷跡が残ってしまうかと心配していたけれど、きれいに完治しそうな様子。
「山内先生は、傷の処置が本当にお上手なんですよ」と、担当看護師の新藤さんが言っていたことは本当だった。


「お、元気そうじゃないか」

「あ! せんせい、おはよう!!」


山内先生に気が付いた妃織は、いつものように朝のあいさつを交わしている。山内先生の存在にはすっかり慣れたようで、嬉しそうに笑顔を弾かせていた。
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