束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 だのに、彩子はあろうことかそんな洋輔に抱きついてきたのだ。


 洋輔のいつもと違う状態に気づいたようだった。

(こんなときまで気づかないで……)


 彼女は聡い人間だ。最初から隠すことなど無理だったのかもしれない。

 だが今の気持ちをぶつけるわけにはいかないのだ。小谷のことを話すことはできないし、知られたくもない。

(いやだ……彩子には知られたくない。嫌われたくない。傷つけたくない)


 洋輔の感情を放出させようとする彩子に必死に耐えた。耐えて、耐えて、全部飲み込もうと思った。


 そんな洋輔に彩子は強く口づけてきたのだ。

 それは彩子らしくないもので、だからこそ彩子から強く感情をぶつけられたのがわかった。

 だめだと思うのに、悦びを覚えてしまう。彩子から与えられるものはなんだって愛しい。


 結局、その口づけが引き金となって、洋輔の理性はついに焼き切れてしまった。

 言葉にできない感情をすべてその身体にぶつけてしまった。

 必死になって受け入れる彩子が愛しくて、ひどく興奮したのを覚えている。

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