束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「なんか恥ずかしいんだけど……でも私も楽しいよ。松藤と私は相性がいいから。どこ行ったって楽しいよ」
「ははっ。間違いない。じゃあ、来週も一緒に出かけてくれますか?」

 彩子は思わず驚きの声をあげそうになった。

 すんでのところでそれを飲み込む。

 こんなにも堂々と次のデートに誘われるとは思っていなかったのだ。彩子は一呼吸おいて、居酒屋店員のごとく力いっぱい返事した。

「はい、喜んで!」
「あっはは! 何それ居酒屋の店員? やっぱり折戸はいいな……折戸、来週はどこ行きたい?」
「え、来週? うーん、次は松藤が行きたいとこ行こうよ」
「え、俺?」
「うん。どこでもいいよ?」
「うーん、じゃあ考えとく」

 そのあとは周りの景色を見ながらあれこれと話していた。恋人のような甘い空気にこそならなかったが、その穏やかな時間はとても心地がよかった。

 彩子は洋輔も同じように感じてくれたらいいのにと思った。
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