束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

2. はじめの一歩

 洋輔と恋人になって一ヶ月が経った。


 洋輔は本当にまめな男だった。毎週末必ずデートに出かけている。デートといっても二人の距離感は何も変わっていない。出かける場所が少し変わっただけで、その空気は友人のときのそれと同じだ。

 彩子はきっとこの距離感でずっと付きあっていくのだろうと思った。物足りないと思わないでもない。でも洋輔が心穏やかでいられるならそれで十分だった。


 だから彩子はこの先に起こることを想像だにしていなかったのだ。

 二人の関係に変化が起きたのは、次のデートでのことだった。
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